日本三大鍾乳洞の一つ、岩手県岩泉町にある龍泉洞の巨大地底湖で、長い間眠っていた怪獣。

その正体は、1978年に岩泉町茂師(もし)の海岸で化石として発見された白亜紀の恐竜・茂師竜(モシリュウ)の生き残りだ。愛称はモッシー
名水百選にも選定される「龍泉洞地底湖の水」からエネルギーを得ている。

龍泉洞の神秘の世界と美しく澄んだ水、そして岩泉町の守り神。
炭酸カルシウムを大量に含んだ霧を吐き、邪魔者をつるつるの鍾乳石に変えてしまう。
エラを持ち、水中でも呼吸ができる。また、体の側面にある側線で、水圧や水流の変化を感じとる。
大きな角と鋭い爪で地中を掘り進むこともできる。

怪獣デザイン

今回の物語の舞台である岩手県の「龍泉洞」は、前述の通り日本三大鍾乳洞に数えられ、国の天然記念物にも指定されている美しい洞窟です。私も小学生時代に行ったことがありますが、とても水が綺麗で、洞窟の中を決められた経路に沿って進んでいくので、まるで遊園地のアトラクションのようだったのを覚えています。

伝説によれば、その昔、宇霊羅山(うれいらさん)という山のふもとからシュー、シュー、という変な音が聞こえ出し、7日7晩も音が続いた後で、岩山を割って「龍蛇」が飛び出し、そのあとから美しい泉が湧き出し「龍泉洞」ができたといわれています(註1)。

一方、同じ岩泉町(といっても本州一広い町なので、龍泉洞とはだいぶ離れている)の白亜紀の地層から発見されたのが「モシリュウ」と呼ばれる未知の恐竜化石。発見当初はディプロドクス科の一種と考えられていましたが、保存状態がひどく、詳細な分類上の特徴を持たないとの理由から、現在では所属不明の竜脚類とされています。

「所属不明の恐竜ならばどんな解釈だってできるだろう」というわけで、岩泉町の2つの名物を組み合わせて誕生したのが今回の怪獣、「茂師龍(モシリュウ)」です。
(「モシリュウ」ですから愛称は「モッシー」ですが、山梨県の本栖湖で目撃されたと噂される未確認生物「モッシー」とは、全くの無関係です)

上半分の青緑色は美しく澄んだ地底湖の水面を、下半分の深緑色は水底のごつごつした岩を表現しています。
また、怪獣の巨大感を表現するために、頭部を大きく、尻尾の末端に向かうにつれて細くなっていくようにし、いかにもパースがかかって見えるような形にしました。

膝つき怪獣について

この怪獣はご覧の通り「四足歩行で膝をついて」います。
世間にはこういう姿勢で歩く怪獣を不自然だと感じる人が大勢いるようですが(註2)、私はけっこう好きです。

なぜなら、膝をついて腰を低くし、お腹を地面にこすりつけるような重心の低い体勢をとった方が、安定感がありますし、何よりどっしりとした重量感が感じられるからなのです。重量感こそ怪獣の命!

そもそも中に人が入っているから膝つきになってしまうわけですが、怪獣の魅力とは「人間くささ」にあると私は思いますので、撮影時も木や建物で後足を隠したりせず、堂々と膝をついたところを映せばいいのではないでしょうか。

ただし多くの場合、四足膝つき怪獣の後足はつま先がしっかりと地面を踏みしめておらず、その点は不自然だなと私も思っていました。

そこで提案ですが、これからの四足膝つき怪獣は、下図のようにつま先を最初から思い切り反り返らせた状態で作ったら、少しは自然に見えるんじゃないかな、とも思うのですが、どうでしょうか。(後足で立ち上がった時のことは考えに入れない)

怪獣デザイン

前足に下駄を履かせるなどして、膝つきの欠点を解消するという手もありますが(下図)、胴体の長さに対して人間の足はかなり長いため、どうしても前足と後足の間が寸詰まりになってしまい、これもまた動物として不自然ですし、第一とても窮屈(きゅうくつ)そうに見えてしまいます。
私はこれからも、四足膝つき怪獣に、堂々とこだわり続けていきたいと思います。

怪獣デザイン

参考記事

(註1)「河童を見た人びと」高橋貞子 / 岩田書院 / 1996年

(註2)例えば2011年9月7日の「YAHOO!知恵袋」には、「着ぐるみ特撮で、四つ足怪獣の膝つき姿勢、どうにかならないんでしょうか?」という投書がありました。膝つきの怪獣に対する風当たりの強さがうかがえます。(アクセス:2013/06/30)

(公開日:2013/06/30)