湿原怪鳥キングサロルン

釧路湿原に建設されたメガソーラーの電力を吸収して巨大化したタンチョウの怪獣。
翼の一部がソーラーパネルと化し放電光線を発射。
怒ると頭頂部が赤く光り輝く。
ろくろ首のように首が伸びて敵を攻撃。
巨大な嘴はコンクリートも貫く。
ナイフのように鋭い風切羽で敵を切り裂く。

怪獣デザイン

今回の物語の舞台である釧路湿原は、釧路川とその支流を抱く広大な湿原で、その広さは日本最大。
国立公園(釧路湿原国立公園)にも指定され、国の特別天然記念物であるタンチョウの生息地としても知られています。

ところが今ではメガソーラーの建設による環境破壊が進み、美しかった湿原はいまや殺風景なソーラーパネルに覆われた醜い風景へと変わってしまいました。

ソーラーパネルを設置すれば事業者が売電収入を得られます。キングサロルンはそんな人類の欲望が生み出した怪獣なのです。

さて、そんなキングサロルンを従来の鳥怪獣と大きく区別しているのは、その非常に巨大で長い嘴です。

今までこんなに嘴の長い怪獣は(鳥怪獣も他の怪獣も含め)ほとんどいませんでした。
唯一、例外は、昭和46年に日本テレビ系列局で放送していた「マチャアキ・前武 始まるヨ!」に登場していたマチャアキ怪獣ガリガリ(下図)くらい。
(ただし、ガリガリは嘴は細長いものの、頭は平たい逆三角形で、嘴の生えたカマキリといったイメージですが…)

怪獣デザイン

また「怒ると頭頂部が赤く光り輝く」という設定も、全くデタラメに思いついたものではなく、実はれっきとした根拠があります。

実際のタンチョウは頭に赤い毛が生えているのではなく肌が露出しているのですが、この赤い部分は伸縮が自在で、興奮すると面積が広がります。タンチョウは頭の赤い部分で感情や意思を表現すると言われており、例えば、相手を威嚇するときには頭を下げ、広がった赤い部分を見せながら突進するそうです(註1)。

ちなみに「サロルン」というのは、アイヌ語で「タンチョウ」を意味する言葉です。

最後に余談ですが、市川崑が監督し、日本の民話「鶴の恩返し」を映画化した「つる -鶴-」という作品があります。
吉永小百合が鶴の役に扮しているのですが、そのラストで、いきなり怪獣特撮のような着ぐるみの鶴が機を織るシーンが登場し、あまりの違和感に当時観ていた観客は大変戸惑ったそうです。機会があったら私も一度、そのシーンだけでもいいから観てみたいなぁ…

参考記事

(註1)野鳥百景 文字化資料 NHK『野鳥百景~タンチョウ(丹頂)』(アクセス:2013/07/31)

(公開日:2013/07/31 最終更新日:2025/10/30)

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